チェストボイスについて。
チェストボイスとは、いわゆる地声、寝起きの発声で起こる声である。
仕組みとしては、声帯の下部分を通り、咽頭共鳴で響く。
特徴としては低い声質であり、咽頭共鳴を使うため響きが大きくはない。
普段の話し声も地声とされているが、発声をトレーニングする上では、
地声は普段話している声ではなくチェストボイスと認識した方がトレーニングがしやすい。
話し声が地声(チェスト)ではない人もいて、特に女性が多い。
(話し声がミドルボイスだったり、ミックスボイスだったりするということ)
低い音質であるから、とか、力強い声になるから、とか、
そういったことは抜きにして、人間が生まれ持った「声」の原点ともいえるもので、
特に感情を強く押し出す表現によく馴染む。
また、「声が小さい」「ぼそぼそ話していて聞こえない」という人で、
声が低い人はチェストボイスに分類されることが多く、
共鳴を鍛えるだけで大きく化ける可能性がある。
さて、チェストボイスは地声、感情を押し出すのに向いていると書いたが、
他のページでも書いたとおり咽頭共鳴のみのため、単体で使おうとした場合、
言葉がつぶれる、歌唱においては音程がとれないなどのデメリットがある。
しかし、それを逆手に取れば、苦悶の声、声が反響するシーンでの小声などでは、
強いリアリティを出すことが出来るというメリットに変わる。
「A班、指定位置についた。指示を請う」
など、相手に悟られてはいけない、マイク越しに連絡する緊迫したシーンで、
状況を伝えるような声は特に「響かないからこそ」の意味を持つだろう。
また、響きを無視すると、声帯の下を通すというのは本来無意識で行いやすい発声のため、
身体への負担を軽くする意味合いも大きく、ミックスボイスでの歌唱となった時に、
チェストボイスを基盤にしておくことで調節しやすいという利点がある。
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